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現場工程3:ダンボールで断熱材を特注で製作
ダンボールで断熱材を造ってみました。名付けて「暖ボール(非売品)」

2001.4.1 スタイロフォームなどの化学素材を材料にした建築用断熱材は、大量生産大量消費を前提に製造されたものですからリサイクルは考えておらず、また、火災時や消却処分時に有毒なガス(例えば、ダイオキシン等の有害物質)を発生するなど難点がありました。今日、廃棄物を減らすためにリサイクル可能な建材の使用と、ホルマリンなどの化学物質により屋内の空気を汚染しないような、安全性の高い建材の使用が課題になっています。自然素材の断熱材が良さそうだと炭化コルク、羊毛、麻、古新聞紙の再生品などなど検討しましたがコスト面で踏ん切りがつきませんでした。ある日ふとホームレスの人たちのダンボールハウスを見て、これだ!と思いました。ダンボールは調べれば調べるほど健康住宅の断熱材としての条件に合うものでした。ダンボールはリサイクル可能→水に溶かしてパルプに戻してリサイクルする→糊は水溶性である。→ ホルマリンなどの有機溶媒を含まない。(従来は含む糊を使っていました)↑これが試作品の写真です。

2001.4.18 本邦初公開、ダンボール製断熱材の製造現場写真です。ハニカムコア3層構造、厚さ45ミリに設定しています。名付けて「暖ボール」従来はダンボールもホルマリンや環境ホルモンの恐れのある糊を使って作られていましたが、今日では従来の糊を使った製品と健康や環境に配慮した糊を使った製品の2本立てになっているそうです。今回の断熱材は健康住宅用という事でホルマリンは勿論、環境ホルモンの心配のある可塑剤を含まない酢酸ビニル系の糊を使って製造されています。製造風景はいたって手づくり@1.2m角の紙を敷いてA接着剤を両面に付けたロールコアを紙の大きさに置きBこの上に紙をかぶせCプレス機で軽く押し付けるDこれを繰り返して3層に仕上げればできあがり。

これが完成品の写真です。これでu単価1500円程。化学製品と比べるとはるかに高価ですが、炭化コルクや羊毛と比べると半値程ではないでしょうか。ただし断熱性能評定をうけていませんから、残念ながら現段階では公庫融資住宅には使えません。

2001.6.2 暖ボールは丸ノコで切断して柱と柱にはさみ込んでゆけば断熱工事完了、「これならいいんじゃないの」と大工さん
施工性は良かったようです。開発者としては一安心、大工さんに総スカンされたのではせっかくのアイデアも無駄骨になってしまいます。

少しきつめにカットして柱と柱に押し込んで行くだけで設置完了。厚さ45ミリのこの製品は内部が空洞ですから、もう一工夫して完成品にしてから断熱性能の試験の依頼をしようかと考えていましたが、きれいに納まっている現場の様子をみたら、この空洞での断熱性能も試験してみようかという気にさせられました。
断熱性能が悪いので商品化はあきらめ、セルローズファイバーをパネル化した セルパネ を開発しました。
健康住宅の考え方
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